最近買ったCD(坂本龍一+大貫妙子とソラブジ)

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17-8年ほど前、学生の時に友人に教えてもらった作曲家の中にSorabjiソラブジというべらぼうな曲をいっぱい書いている人がいます。
とにかく響きが複雑に折り重なって分厚くそれが独特の湿度と香りを感じさせる作風で、演奏は大抵極めて難しくピアノソロなのに6段譜になっていたりするものもある上に、A3で200とか300ページを費やす作品も珍しくなく、その演奏時間も4時間とか7時間とかかかってしまう。まあ濃密な感触を好むピアノ通向けの作曲家であります。

このたびはそのソラブジが書いた「100の超絶技巧練習曲」という400ページ・演奏7時間という代物の第3弾で44-62番が収まっているCDです。多少クラシックのピアノに触っている人なら超絶・・ときいてリストの12曲の練習曲を思い浮かべるかも知れませんが、この「100の・・」はリストのそれにしばしば見られるような物語性はほとんど無く、和音、多声、音階、アルペジオ・・といったさまざまな技法をつかってソラブジの音世界を顕す、標本群のような、あるいは織物見本のような曲集です。しかし、無味で機械的な練習曲群かというとそれも見当違いで、一曲一曲の響きにはそれぞれ色彩感や芳香に満ちた音の手触りがあり、聴くうちにその音の湯の中にずぶずぶ浸ってしまいます。
演奏も見事な切れ味の良いもので、聴覚を通してすぱすぱと色や匂いの世界を切り開いてくれます。
うーん、続編が楽しみですが、完結するのはあとCD3-4枚を費やす筈で(番号が増えるほど演奏時間が長くなる傾向があるため)気長に待つことにします。

もう一枚は坂本龍一のピアノで大貫妙子が歌うという、その名も「UTAU」。
大貫さんの歌はちょくちょく聴いていたのですが、1990年を過ぎたあたりからの作品は、高めの音で地の声から鼻に抜けて裏声に移る歌い方が多く、その際に「べろべろっ」とぬめるような質感があって余り好きにはなれず、聴くのはもっぱらその頃までの作品ばかりでした。(えらそうで済みません)
そういうわけで、このCDが出たときも「ふう〜ん」くらいに思っていたのです。ところが後日ネットサーフしていてたまたまどんなものか試聴してみたところ,,鳴り出して数秒で息を飲み、続いてもう何曲か試聴してそれから1分後には注文してしまいました。
古い録音の素の声でもなく、近年のべろんとした鼻の声でもなく、じつに手触りに富んだ力のある歌が聴こえる。伴奏のピアノも絶妙なニュアンスが素晴らしい。
二人の才能が互いに磨きあって新しい地平を見いだした、そんな感じがします。

このCDのジャケがそうであるように、シンプルでモノクロームな質感の曲が収められています。しかしこのモノクロームは「墨に五彩あり」の言葉通りの能弁さを感じます。

これらに限らず、素晴らしい器楽奏者、歌い手、、好みの演奏に出会えるたび、いつも「音楽はすごいな〜」としみじみ思います。

音楽が好きでほんとうに良かった!
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# by esquisses | 2010-12-02 12:34 | 音楽

モリコロパークに行ってきた。

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五年前の愛知万博には一度しか行っていません。

かつて会場であったモリコロパーク(愛・地球博記念公園・旧青少年公園)を訪れたのはその万博入場いらいです。ざっと散歩しましたが、平日ということもあり、「サツキとメイの家」や子供達が遊ぶ広場などなどを除いては閑散としており、最後に寄った万博記念館では自分達しか入場者はいませんでした。しかしその展示を観るにつけ、五年前のあの記憶が蘇り、またそれが既に無いものである事を噛み締めました。
パビリオンも様々な設備も今は無いけれども、それに関わった人々の思いというものが各人の中に刻まれているだろう事を想像しながら展示に見入ります。

人ごみは苦手です。が、色々な国や人がこう見せたいと思い、設えた表現をもっと観ておけば良かったな、とちょっぴり残念に思ったのです。

万博に限らず、腹黒い政治的な思惑とは異なるレイヤーで、ナショナルなものを蓄えた人びとが接する事でインタナショナルな繋がりができる。互いの敬意と平和への希求、賢さへの探求。国際交流のあるべきありさまは、そういったところなのだろうか、、などと、コスモス畑や広場で遊ぶ沢山の子供たちを見ながら、そんな事を考えて歩いたのでした。
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# by esquisses | 2010-10-20 22:58 | 雑記

立場の違い。

最近望ましくない展開で事が進んでしまった。これは今に始まった事ではない。

双方で合意がなされないまま年月が過ぎて出来た、意見のギャップというものが現時点に確かにある。
合意をはかる機会を持ちたいと私たちは常々思っている。この長い歴史のモヤモヤをどこかで断ち切りたいし、それは可能だと確信している。

ただ、その機会をまだ持てていないので、たがいにそれぞれの立場を語る他はないのもまた事実だ。これは好ましくない面もある。

しかし、その中で、少しずつ変化も起こっていて、その行方を見守りながら、私たちもより良い表現を探っている。
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# by esquisses | 2010-10-19 22:30 | 思索

壊された井戸のポンプ

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先月、地元の有志の方々が協力して境内に井戸を掘り、その水を毎日12時間、電動ポンプで汲み上げて池に給水を続けておりました。自然の雨と合わせてだいぶ水位が上がってきていたし、水も澄み始めてきました。

今朝、お参りの方が知らせてくれて、現場に駆けつけるとポンプの水の出るところに繋がれていたパイプが根元から折られ、そこから水が出続けて周りはビタビタになっていました。

敬虔にお参りする人や、奉仕で掃除をしたりする人がいるかたわらで、ごく少数ではありますが、ものを壊す人、賽銭や寺の什物を盗む人、飲み食いしてそのゴミを捨てて行く人などがいます。さらに野良猫のフン、食い散らかした餌や放置されたそのゴミ・・
当山は参拝のために24時間出入り自由な寺です。ですがわざわざ寺の土地に入ってきてこういう事をする人がいるのは悲しいことです。

世情が悪くなって、人心が荒みやすい時代だとしても、自分を幸せに生かしていくのは他ならぬ自分でしかないのですが、、
溜息が出ます。

(追記14:29)当該箇所は、本日修理していただきました。
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# by esquisses | 2010-10-11 07:58 | お寺

笛を吹きたい30台後半の手習い(2)

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写真はレンタルしたヤマハのクラリネットです。

クラリネットは吹いたことはおろか触ったことも無かったので、ゼロから試すにはまずは楽器を借りるのが良かろうと、家内がネットでレンタルがあることを見つけてくれました。

ともあれ初めてで、「クラリネット」という楽器そのものに慣れるということで、一番安く借りられるプラスチック製の楽器を選びました。
先日、たまたま比較的近い場所に管楽器の専門店があることを知ったので、店にお邪魔してそのことを話すと「だったらまず楽器が届いたらここにお持ちなさい。楽器の扱い方とか教えてあげるから。」とのこと。なので楽器を手にしたら開封もせずに店に持っていき、そこで初めてケースに収められたそのクラリネットとご対面となりました。

カタログで見て想像していたより大きかったです。ケースの中でいくつかの部位に分けられているクラリネットには沢山の金属製のパーツがついていてちょっと物々しい雰囲気に感じました。店のご主人が説明しながら組み立ててくれ、手に持たせてくれました。
思っていたほどには重くはないですが、口と右手親指だけで楽器を支持するのはけっこう不安定な感じがします。
ご主人がマウスピースのくわえ方を教えてくれ、自身の高級な楽器で滑らかにスケールなどを吹いてくれます。
さて自分も言われた通り(のつもりで)息をふきこんでみるのですが、
「(すーっ)」
「(すーっ)ビャッ!」
およそ自分の知るクラリネットの音とはほど遠い音が短く店内に鳴り響きます。
・・見かねた主人がリードやマウスピースを取り替えてくれたりすると、時々クラリネットっぽい音が出るようになったりすることもあるのですが、音が出ても今度は息が数秒しか続かず、30分余りそんなことを繰り返しているうちにだんだん疲れてきてしまいました。

「まあ口の形が出来るまで3ヶ月は練習することになるだろうね。独学ではまず出来ないからレッスンも必要だし、鏡見ながら毎日ロングトーン(一つの音を長く持続させる)が出来るようにしていきましょう。」
とのお言葉と使ったリードを1枚頂戴してお店を出ました。

というわけで、これから仕事前や帰宅後に発音練習し、近いうちには体験レッスンを受けにいくことになるでしょう。
こうして、ピアノ、リコーダー、クラリネットの練習をすることになるのですが、せめて各楽器10分ずつでも練習が出来ると良いのですが・・

はたして私はこの借り物のクラリネットを歌わせる、というところまでたどりつけるのか否や?!
それなりに鳴らせるようになった日には、またお店に行ってそこでMyマウスピースやリードを選びたいと思います。
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# by esquisses | 2010-10-05 00:06 | 音楽

笛を吹きたい30台後半の手習い

以前から管楽器をやってはみたいと思っていたのです。

ピアノへの関心が薄れた訳ではありません。(ちょうど目標曲も見つけたところだし)
近代の工業発展の賜物と言ってもいいピアノは、木のボディに鋳鉄のフレーム、そこには200本の鋼の線がものすごい力で張られていて、張力の合計は2tにものぼり、その図体の重さは300〜500kgと言った代物で、「自分のピアノ」といっても持ち歩くことは出来ません。

近代の力技の楽器:ピアノに対して、笛は管に息を吹き込むというシンプルな原理ゆえ、非常に古くから人の傍にあった楽器です。ピアノのようなダイナミックさはない代わりに、空気の流れが作る微妙な表情があり、またピアノが弦を叩くというその発音原理によって打鍵後は常に音が小さくなる宿命を負っているのに対して、管の楽器は音を持続させたり、大きくさせたりすることも可能です。(ヴァイオリンのような擦弦楽器もできますね)

このように様々な要素でピアノと対極にあるような楽器への憧れを抱いていました。そしてその中でも音色で気になっていたのはオーボエ・リコーダー・クラリネットの三種類。
ところがどうもオーボエはリードの扱いがかなり難しそうだし、楽器も非常に高価、ということで手を出す勇気は無し。
クラリネットはオーボエよりは敷居が低そうなのでやってみたいけれども、全く経験がないので、始めるにしてもまずはレンタルしてみないと・・ということで、リコーダーなら小中学校で経験もあり、木製は高いけれどもプラスチック製ならちょっといいのが買えるらしい!ということで、中学でもやったアルトリコーダーを買ってみました!
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さてさて、手を洗って早速組み立て、穴を全部押さえて一番低い「ファ」を・・

ビャ〜〜〜ッ!!

ひどい割れた音でなさけない第一声が放たれました。懲りずに運指表を見ながら半音ずつ上げていくと、途中から割と綺麗な音になっていき、最も高い音三つあたりで途端に変な低い音になってしまうので、細くするど目に息を吹き込むとなんとか高い音が出るものの、ちょっとヒステリックな上に、二番目に高い音が妙に上ずった音程になってしまいました。
息の強弱で音量・ピッチが変わるとか、しばらく吹いていると水が溜まってきて吹きにくくなるとか、その手応えから、シンプルな分デリケートな扱いを要求される楽器だと感じました。こんなことは子供の頃には気にも留めなかったなあ。
先日は楽器屋さんで教本を買ってきましたが、やっぱり小さくても立派な楽器、きちんとやるならレッスン要るかも。

でも、クラリネットも試してみたいのでレンタルを考えています。クラリネットは以前に名奏者である、つつみあつきさんの演奏や、知人のステージを聴いてその音に惹かれてしまったし、またリコーダーとは違う楽曲(特に近代もの)があるので、とりあえず基礎練習からやってみて、それぞれどういう付き合いになるのか見極めていきたいと思います。

練習時間もとれるのかどうか、という問題もあれば、物覚えもさらに悪くなってきたこのごろ、果たしてこれらの笛達は私の息で歌ってくれることになるでしょうか。
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# by esquisses | 2010-09-30 22:31 | 音楽

秋だ

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窓を開けて寝ていたら、夜中に寒くて目が覚めてしまい、少し喉に違和感を感じます。
それでもあの凶暴な夏もやっと収まったようで、いよいよ秋らしいヌケをここかしこに感じられるようになってきました。
ピレのシロも洗ってやった翌日から涼しくて、耳が降りてきました。機嫌が良さそうです。
庭や境内の所々にはセミの屍骸が落ち、耳に聞こえるは秋の虫の声。

ぼちぼち温めてきた仕事の制作に進もう。
この先のいろいろも構想を少し練ってその方面の専門家である友人とメールでやり取りが出来ました。

そろそろ休みをとった日には写真でも撮りにいきたいところです。
ピアノも練習しなきゃ、と思うのですが、これはなかなか。

私は、秋とはたぶん、気が「明き」、「開く」から「あき」と呼ばれるようになったのだ、と思うことにしています。
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# by esquisses | 2010-09-17 23:18 | 雑記

ヘウレーカ!〜アムランのなぞなぞ

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二週間ほど前に手に入れたこのアムラン作曲「短調による12のエチュード」のCDにはコンポーザー=ピアニストのマルカンドレ・アムランMarc-André Hamelin氏が25年の歳月の中でコツコツ作曲してきた、12曲のエチュードと他の数曲が本人の演奏で収録されています。

これらの彼の曲は、コアなクラシック系ピアノ好きの耳には非常に魅惑的な色彩感が独特で、かつ演奏が世にも難しいものが多くを占めます。

さてこの12曲のエチュ−ドはショパンのエチュードを3つ合体させたり、リストやロッシーニの作品を編曲したりと、過去の名人達の作法を現代によみがえらせたような色々な仕掛けがありますが、その中の第5番「グロテスクなトッカータToccata grottesca」はある過去の作曲家の曲を元にしているけれども、その原曲は秘密、聴いた人が当ててね!という茶目っ気たっぷりのアムランからのなぞなぞでもあります。

ずっと分からなかったのです。
ところが今朝、ぼーっとiPhoneの小さなスピーカから流れてくるこの曲を聴いていて「このテクニックはあの曲(←答えとは違う曲)に似てるな・・、この曲の入ったあのアルバムにあの曲も入っていたな・・あっ!あの曲だ、そうだそうだ、まるで違う雰囲気になっているけれどもこれはあの曲が原曲だ!!」
と分かってしまい、笑いが止まりませんでした。

「ヘウレーカ!(見つけたぞ!)」

さすがにアルキメデス先生みたいに裸で駆け出したりはしませんでしたが(笑)

いや、なんというかピアノ好きのネタなのですが、憑き物が落ちてすっきりした嬉しさに、つい日記の投稿をしてしまいました、とそういう浮かれたネタなのです。
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# by esquisses | 2010-08-30 10:01 | 音楽


お寺、音楽、写真やら、副住職の日々諸々


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